「HSK」か「中検」、結局どちらを受けるべき?

中国語の検定試験には、HSK、中検をはじめとした数多くの試験があります。

中国語を勉強している方は、どれを受ければ良いか一度は悩んだことがあると思います。

この記事では、HSK(最高級)と中検(2級)を取得し、中国留学や現地で働いた経験もある筆者が、「どの試験を目指すのが良いか」を説明します

この記事で解決できること
  • HSK・中検をはじめとした中国語の検定試験のうち、結局どれを受ければ良い?

結論:HSKがおすすめ

いきなり結論になりますが、特別な事情がない限りはHSKがおすすめです。 

海外での留学・就職を目標にするのであれば、HSK一択です。

特に、中国の大学の本科などに入学する場合にはHSKは必須となります

また、最近は日本国内の企業においても人事担当者の間でHSKの知名度が上がってきているため、日本企業に就職する場合もプラスになります。

※ただし例外として、「日本企業にしか就職しない」と決めている人や、「HSKの会場が遠すぎて受験できない」という人は、中検を選ぶのも有りです。

本記事ではその理由や、各試験の特徴をご紹介します。

HSK

「HSK」は漢語水平考試の略で、中国語を勉強する全ての人向けに実施されている試験です。 HSKは全世界110以上の国で実施されており、グローバルでは最も規模の大きい中国語試験です。問題文は中国語で書かれていて、中国語で回答をします。 

HSKは中国ではほぼ毎月、日本でも1年に10回ほど試験が行われます。

HSKが日本に導入された当初は、年2回の実施だったのを考えると、かなり普及したと言えます。

HSKのメリット

HSKを保有するメリットは2つあります。

「中国留学の入学要件を満たすことができる」「グローバルでの知名度」です。

これらの2つの点において、他の試験に比べた場合のメリットは圧倒的に大きいと言えます。

HSKは中国の正規留学にほぼ必須

中国の大学の本科(学部)や大学院への留学するためには、HSKはほぼ必須です

大学ごとに、入学に必要な級や点数が条件として設けられています。

たとえば本科の場合は、北京大学はHSK6級200点以上、清華大学はHSK4級180点以上でなければ入学許可がおりません。

これは、他の試験で代用することはできず、HSKを取得する最大のメリットと言えます

グローバルに通用する

HSKは全世界の110以上の国で実施されている、最大規模の中国語検定試験です。

そのため資格の認知度はグローバルで見た場合は圧倒的なので、中国をはじめ海外で就職をしたいと考える方はHSK一択となります。

以前は日本国内での知名度があまり高くなかったことが弱みでしたが、最近は日本の企業の人事担当者の間でも認知度が上がってきているため、日本国内の企業に就職する際もプラスになります。

HSKの注意点

HSKの注意点として、級分けの制度が定期的に変更されるため、「最高級が伝わりにくい」ということがあります。正しく伝えるために履歴書等に記載するときは注意しましょう。

現行のHSKは1級から6級までありますが、実は数年前までは1級から9級までありました。そしてまた、2022年より9級制に戻るという話もあります。(2022年12月時点では、6級制のままです。)

そのような経緯もあり、「何級が最高級であるか?」が分かりにくくなっております。

そのため筆者も、企業の人事担当者に誤解されないよう「2000年度HSK9級(最高級)」「2018年度HSK6級(最高級)」等と書くようにしております。

HSKの検定料

検定料
1級3,740円
2級4,950円
3級6,160円
4級7,370円
5級8,580円
6級9,790円

中検(中国語検定試験)

「中検」は中国語検定試験の略で、主に日本国内で日本人向けに実施する試験です。 

HSKと異なる点として、出題は日本語で解答は中国語となります。

中検は毎年、3月、6月、11月の年3回行われており、会場は日本国内の受験センターや大学などです。

1級は年に1度だけ、1月に試験があります。 準2級と2級には二次試験があります。

中検の強み

中検の強みは、国内での知名度の高さです。

中検はやはり、数ある中国語の認定試験の中で歴史も長く権威のある試験です。日本国内で知名度がありますので、日本で就職するには一番効果的な試験と言えるでしょう。

中検の弱み

中検の弱みは、ずばり「海外での知名度の低さ」です。

高い級を持っていても、その実力が伝わらない事が多々あります。

筆者も中国で「中国語検定は2級を持ってる」と言っても、「えっ?それ何の試験?2級は高いの低いの?」と中国人に聞かれる始末でした。

そのため、海外での就職を目指す方は、HSKを優先して受験することをおすすめします。

日本における中検のように、その国での認知度は圧倒的に高いもののグローバルではあまり認知されていない試験が中国にもあります。

例えば、多くの中国人が受ける英語テストにCET(College English Test)というものがあります。

筆者が中国人留学生採用人事に携わっていた頃、学生の履歴書に「CET4級」と書いてあっても、「CET4級が高いのか、それとも低いのか」わかりませんでした。

中検の検定料

検定料
準4級3,500円
4級4,800円
3級5,800円
2級7,800円
準1級9,800円
1級11,800円

その他の試験

中検とHSK以外にも、「TECC」や「通訳案内士」などの中国語の認定試験があります。

ただし、これらの試験は最近ではHSKや中検と比べて知名度や資格取得のメリットは薄れてきていると言えます。

TECC

「TECC(テック)」は中国語コミュニケーション能力検定の略で、主に日本人を対象とした中国語のコミュニケーション能力をはかる試験です。中検やHSKと違って合否は無くスコアによって実力をはかる試験です。 

以前は「日本人向けの中国語の試験といえば中検とTECC」だったのですが、現在はHSKにすっかりその座を奪われた感は否めません。

通訳案内士

以前は、外国人観光客をガイドする際には「通訳案内士」という国家資格が必要でした。通訳案内士は各言語ごとに資格があり、その中でも中国語は超難関と言われていました。

筆者も長らく中国に関わってきましたが、いまだに通訳案内士資格保有者に会ったことがありません。また、現在はガイドに通訳案内士の資格は不要となりました。銀座や浅草で中国人観光客をガイドしている人を見ても、大半が中国語ネイティブの人のようです。

しかし日本や地元の文化を一番理解しているのはやはり日本人、通訳士試験は存続しているので中国語の通訳士試験が再び脚光を浴びる日を期待してやみません。

まとめ:HSKを受験しましょう

以上のことから特別な事情がないのであれば、HSKを受験することをおすすめします。

HSKは海外留学や海外就職に有利なだけでなく、日本企業における認知度も上がってきているためです。

例外として、「日本企業にしか就職しない」と決めている人や、「HSKの会場が遠すぎて受験できない」という人は、中検を選ぶのもありかもしれません。