まずはおさえておきたい上海語22選

「どうしても上海語を勉強したい!」

そう相談すると、中国滞在経験者や中国語が出来る日本人、中国人までもが口を揃えてこう答えてくるでしょう。

「上海を勉強する必要はない。上海に住んでも普通話で生活していける。外国人が上海語をマスターするのは難しい。」

そんな否定的な答えばかりだと思います。

上海語を勉強したい、その理由はさまざまだと思います。

私は1998年に北京に留学し、その後6年間上海で働いていました。
そんなひと昔前の上海でも、仕事はオール普通話で、上海語は全く必要ありませんでした。

ただ上海で暮らしていくうち、上海人同士の会話の内容を知りたい、普通話と全く違う響きのこの言葉をマスターしたい、その一心で徐家匯の語学学校でマンツーマンで上海語を習い始めました。

この記事ではまずはおさえておきたい上海語の単語と使用例を紹介します。

この記事で解決できること
  • これから上海語を学びたい方に、上海語学習スタートへの後押しをします
  • 上海語とはどのようなものか、概要と具体例を知る事が出来る

上海語と日本語の共通点

普通話では老人(ラオレン)高架(ガオジャー)と発音するところを、上海語では「ローニン」「ゴーガ」と発音します。

日本語普通話上海語
老人ロウニンラオレンローニン
高架コウカガオジャーゴーガ

あれ?同じ中国語なのに、上海語の漢字の音は、北京語よりむしろ日本語の音に似ていませんか?

その理由は、日本に最初に伝わってきた漢字は、上海語と関係が深いからです。

普通話は、清代に北京官話を標準語として全国に広めたものです。

それ以前は呉語、福建語、客家語、湖南語など、各地で各地の言葉が使われていました。
上海語は呉語の一方言です。「呉」は「呉越同舟」の「呉」で、現在の江蘇省と浙江省一帯です。
この時代に中国から日本に漢字が広く輸入されました。

そのため、日本の漢字には呉語である上海語と発音が似ているものがあるのです。

上海人で日本語を話せる人は、日本語の発音がすごく自然です。
それは上海語と日本語の発音が似ているから、というのも一因かもしれません。

上海語の発音をカタカナで覚えちゃダメ

日本語と漢字の音に共通点がある上海語ですが、決して日本語のカタカナで覚えてはいけません。
なぜなら、上海語はカタカナでは表す事が出来ないからです。

例えば「我」。
国際字母という言語学で使われている表記では「ng」と表記しますが、カタカナで表すとしたら「ングー」。
しかし「ングー」と言っても全く通じないでしょう。
ngガ行鼻濁音は、日本語では文頭に現れる事はありません。

普通話もカタカナだと通じないのと同様に、上海語は更にカタカナでは全く通じないです。
ですからカタカナで上海語の発音を覚えるのはNGです。

上海人から直接教わるか、音声付きの上海語テキストを買って、必ず耳から勉強しましょう。

おすすめ上海語22選

ここでは便宜上カタカナで発音表記します。

比較的カタカナ発音でも通じる上海語を選んでいますが、きちんと勉強したい方は、実際の音を聞いて覚えましょう。

上海語には決まった漢字表記はありません。
ここでは良く使われる漢字を用いていますが、テキストによって違う場合もあります。

上海闲话

読み意味
上海闲话(サーンヘーエーウ)上海語

普通話で上海語のことは、「上海话」と言いますが、上海人は上海語の事は「上海闲话」(サーンヘーエーウ)と言います。

例文

侬讲得来上海闲话伐?

読み: ノン ガンダレー サーンヘーエーウーヴァ?

意味: あなたは上海語が話せますか。(普:你会讲上海话吗?)

谢谢侬

読み意味
谢谢侬(シャーヤーノン)ありがとう

谢谢你、ありがとうの意味。

侬=你。

上海は商売人の都市。日本で言えば大阪のようです。
大きい声で「谢谢侬!」と言えば「おおきに!」と外国人が関西弁で言ってるようで、いっきに打ち解ける事が出来るかもしれません

侬好

読み意味
侬好(ノンホオ)こんにちは

侬好=你好。「好」は普通話と同様、良いという意味。蛮好(メーホオ、とても良い)老好(ローホオ、とても良い)好吃(ホオチェッ、美味しい)好看(ホオクゥ)等。

再会

読み意味
再会(ゼーウェ)さようなら

再会=再见。

日本人

読み意味
日本人(サパニン)日本人

上海人

読み意味
上海人(サンヘーニン)上海人

あなたが上海で暮らしたら、サパニンは一番よく聞く上海語かもしれません。

サパニン、サパニンと言われたら、「是格(ズーガッ)」(「そうです」の意味)と上海語が分かることを示して驚かせましょう。

「阿拉上海人(アラ サンヘーニン)」(普:我们是上海人)
上海人は上海人であることにとても誇りを持っています。

読み意味
(ンマッ)普通話「没」と同じ意味

没は「ンマッ」と発音します。

例: 没关系(ンマッグエシ)、没意思(ンマッイース)

読み意味
(サー)普通話「什么」と同じ意味

「啥(サー)」は什么の意味です。

啥=什么、啥人=谁、啥地方= 哪里、啥辰光=什么时候

例文

侬讲啥?

読み: ノンガンサー

意味: 何を話しているのですか

啥人讲?

読み: サーニンガン

意味: (電話のやりとりで)どちら様ですか?

啥辰光有空?

読み: サーザングアンユゥコン

意味: いつ暇がありますか

晓得了

読み意味
晓得了ショッダラ分かった

晓得了=知道了。

相手に何度も言われたら、「晓得了,晓得了(ショッダラ、ショッダラ)」と返事をすると「あー、もう分かった、分かった」みたいな感じになります。

「勿晓得(ヴァショッダ)」は「不知道」の意味です。

一眼

読み意味
一眼(イェッゲー)普通話「一点点」と同じ意味

一眼=一点点

例文

我听懂上海闲话一眼眼

読み: ングー ティンドン サーンヘーエーウ イェッゲゲ

意味: 私は上海語は少し分かります。

贵 / 便宜

読み意味
(ジィ)(値段が)高い
便宜(ビーニー)(値段が)安い

市場などで、おじちゃんおばちゃんと値段交渉するのは楽しいものです。
今どきの上海では、お店で価格のやり取りはしないかもしれませんね。

例文

太贵!便宜一眼,好伐

読み: タッジィ。ビニイェッゲ、ホオヴァ?

意味: 高い!少し安くして。

几细

読み意味
几细(ジーディー)(値段について)いくらですか?

「几细」=「多少钱」の意味。

「几」だけならば「多少」の意味です。

例文

几细一只?

読み: ジーディーイェッザッ

意味: 一ついくらですか?

现在几点钟?

読み: イーゼージーディーゾン

意味: 今何時ですか?

勿搭界

読み意味
勿搭界(ヴァッダッカー・ワッダッカー)普通話の「没关系」と同じ意味

没关系の意味。

谢谢(シャーヤー)と言われたら、勿搭界(ヴァッダッカー)又は勿要谢(ヴァヨージャ)と返しましょう。

勿关系(ンマッグエシ)とも言います。

阿里的

読み意味
阿里的(アーリーダ)普通話の「哪里」と同じ意味
例文

侬屋里辣阿里的?

読み: ノンオーリー ララアーリーダ

意味: あなたの家はどこですか?

哪能

読み意味
哪能(ナーヌン)普通話の「怎么」と同じ意味

哪能办=怎么办
哪能讲=怎么说

例文

哪能办?

読み: ナーヌンベー

意味: どうしよう?(=怎么办)


哪能讲

読み: ナーヌンガーン

意味: どのように言うか(=怎么说)


ナーヌンベーは、私には面白く聞こえました。

普通話で怎么办?と言われると強い響きで緊張しますが、上海語でナーヌンベーと言われると、ちょっと緊迫感が薄まります。

白相

読み意味
白相(バッシャーン)遊ぶ

白相=玩の意味です。

上海語は、日本人にとって面白かったり可愛い響きの言葉が多いです。上海で働いていた時、職場で女の子達が週末の前に「バッシャーンシャン」と楽しそうに話しているのをよく聞きました。

例文

侬新天地白相过伐?

読み: ノンシンティーディバッシャーングゥヴァ?

意味: あなたは新天地に遊びに行った事はありますか?

瞎讲八讲 / 瞎讲

読み意味
瞎讲八讲(ハッガーンバッガーン)嘘つけ!
瞎讲(ハッガーン)

「嘘つけ!」の意味です。普通話で言えば胡说八道でしょうか。

上海語は音の響きが面白い、思わずくすっと笑ってしまう発音が多いです。なかでもハッガーンバッガーンは初めて聞いた時大ウケしてしまいました。

上海人の女の子がハッガーン(うそ〜!)と言ってるのもとても可愛らしいです。

大闸蟹

読み意味
大闸蟹(ドゥーザッハ)上海蟹

上海蟹の事を普通話では大螃蟹と言いますが、上海語では大闸蟹(ドゥーザッハ)と言います。

上海人は本当に上海蟹が好きです。
知人は、歳を取って歯が悪くなったら、上海蟹の細い足の部分を歯で食べられないなぁと嘆いていました。

例文

阳澄湖个大闸蟹老好吃

読み: ヤーンゾンフガ ドゥーザッハ、ロオホオチェッガ

意味: 陽澄湖の上海蟹はとても美味しいです。

灵格 / 勿灵

読み意味
灵格(リンガ)良い
勿灵(ヴァリン)良くない

灵格は「良い」という意味。勿灵は「良くない」の意味。

上海に昔からあるチェーン店のレストランに美琳閣があります。「美琳閣、蛮好格!(メーリンガー、メーリンガッ)」美琳閣はとってもイイね!というCMがありました。40代以上の上海人なら懐しがるかもしれません。

灵格の他、「结棍(ジェッグン)」は厉害の意味で褒め言葉です。例:伊老结棍伐(イーロージェッグンガ)彼はすごいね。

骂人个闲话

読み意味
骂人个闲话(モーニンガエーウ)罵り言葉

上海語は、骂人个闲话(罵り言葉)が豊富です。その昔私が北京に留学していた頃は、人が路上で殴り合いの喧嘩をしているのもよくある光景でした。
ですが上海に移り住むと、上海人も路上で喧嘩をする事がありますが、手を上げる事態になるのは少なく、たいてい罵りあって声だけで喧嘩していました。
そういった地域による気質の違いもあり上海語は罵り言葉が豊富なのかも、と思いました。

十三点

読み意味
十三点(サッセーディ)変な人
どうかしてる人

変な人、どうかしてる人という意味です。時間は1時から12時までしかありません。
なので「13時」というのはこの世にない時間、つまり「普通じゃない人」という意味で使われます。
精神病(サンジーンビン)も同様の意味です。

一句闲话

読み意味
一句闲话(イェッジーエーウ)任せておけ、約束した

これは「任せておけ、約束した」の意味です。
「一度約束した事に二言は無い」ということから出来た言葉のようです。

上海語の学習法

25年前に私が上海語を学んだ頃は、中国で売っていたのは上海交通大学出版社の「学説上海話」と、日本で売っていたのは白水社の「ニューエクスプレス上海語」の2冊だけでした。

今ではいろいろな方法で上海語を勉強することができます。

上海語学習のテキストも増えています。「ニューエクスプレス上海語」も何度か改版を重ねているようですが、昔も今も丁寧に考えて作り込まれた教科書で感心します。

中国語教室によっては、上海語コースを用意している教室もあります。

また、最近はYouTubeにも上海語を学べる動画がたくさんあります。
「上海語」で検索するだけでも結構たくさん日本語で上海語を紹介している動画があります。
動画なら無料で学べるのは良いですね。

それと東京で歩いていて、たまに上海語が聞こえる時もあります。国際的な上海人、留学や仕事で日本に住んでいる人もいるかもしれません。上海人と知り合いになって、交換学習も出来るかもしれません。

いかがでしたでしょうか?上海語を勉強したい!そう思っている方に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。